日本大学理工学部 一般教育数学系列 武村研究室

研究紹介

近年,我々の研究グループは数理物理学・工学の分野に登場する各種微分方程式の境界値問題に対するグリーン関数が,あるヒルベルト空間の再生核であることを見いだした。本研究は再生核理論の視点から見たグリーン関数の解析的あるいは代数的構造を明らかにし,再生核によるソボレフ不等式の最良評価(最良定数,最良関数計算)を応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。最近の具体的な研究項目は,主に次の3つである。

1. 再生核理論の視点に基づくグリーン関数の解析的・代数的構造の究明

数理物理学,工学の諸分野に登場する高階常微分方程式の各種境界値問題を設定し,グリーン関数を求め,その正値性,階層構造,行列式表示,積分表示など解析的あるいは代数的な構造を明らかにする。境界条件の種類によっては零固有値の存在ゆえにグリーン関数が求まらない場合がある。その場合もある可解条件と直交性条件を付加し対称直交化法と呼ばれる方法でグリーン関数を構成することにより,再生核と対応するグリーン関数を一意に求めることが可能である。

2. 再生核を利用した連続・離散ソボレフ不等式の最良評価

近年の研究でグリーン関数はヒルベルト空間を適切に定めると,その再生核になることが分かった。グリーン関数と再生核との対応関係を調べることにより,境界値問題と再生核ヒルベルト空間との対応を明らかにする。再生核理論から最良定数はグリーン関数の対角線値の最大値に等しい。

有限区間上の棒のたわみ問題(両端ディリクレ境界条件)に対するグリーン関数(再生核)のグラフ

有限区間上の棒のたわみ問題(両端ディリクレ境界条件)に対するグリーン関数(再生核)のグラフ これまで蓄積してきたグリーン関数の詳細な情報をもとに,ソボレフ不等式の最良評価(最良定数,最良関数計算)を求める。並行してソボレフ不等式の離散化を行って,連続・離散版最良評価の統一的手法を確立する。

研究計画

研究計画

3. ソボレフ不等式の工学への応用

切頂多面体等工学上重要な各種有限グラフ上での離散ソボレフ不等式の最良評価,特に,切頂20面体(C60 フラーレン)上の離散ソボレフ不等式と最良定数の材料科学的意味付けを行う。

バッキ−ボールとその隣接行列

バッキ−ボールとその隣接行列

業績

業績については,以下のページをご参照下さい。
http://kenkyu-web.cin.nihon-u.ac.jp/Profiles/74/0007341/profile.html

お問い合わせ

日本大学理工学部
一般教育数学系列
武村研究室

Email :
takemura.kazuo@nihon-u.ac.jp

PAGE
TOP