%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 香川大学教育学部特別授業 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% (タイトル) パソコンで微分方程式の解を見る %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 1 授業内容と授業方法および展開 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 授業内容 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 1 階の線形微分方程式 y'+2y=0 と 2 階の線形微分方程式 y''+y=0 の解を オイラー法と呼ばれる方法で近似し, それをグラフィカルに表現することで 解というものを理解させること. %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 授業方法および展開 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 上記内容が記されている ホームページ (http://www.penta.ge.cst.nihon-u.ac.jp/~syama/lesson.html) を利用して授業を展開する. 教育学部情報処理教室のパソコンを利用することで, 授業参加者全員がホームページを見ることができた. また, 授業の中で, 数式処理ソフト Mathematica を利用したグラフの動的表現を 見せる必要があったが, 情報処理教室の教師用のパソコンに インストールされている Mathematica を利用し, ホームページから 必要なファイルをダウンロードして 実行した.学生は,2 台のパソコンの間に設置してある パソコンで,教師用のパソコンと 同じ画面を見ることができた. 具体的には 1.ブラウザーにアドレスうを記入し, ホームページを正しく開くことから始めた. 2.全員がホームページを開いたことを確認してから, クリック等の説明をして, ホームページの画面を見ながら,微分方程式の授業に 入った. 3.微分方程式の解に対する問題提起とこの授業の目的を説明する 4.一つ目のテーマ  微分方程式 y'+2y=0 を初期条件 y(0)=0 のもとで解法 に入る. 以下のように展開した. (1)微分方程式から折れ線を作る をクリックさせる. クリックすると折れ線の作り方のページが現われるので, その画面にそって説明する.導関数の定義から 近似式が得られること,それを適用すると 微分方程式は,順次先の点を予測するシステムに なることを説明し,折れ線を描くことができる 原理を説明した. 次に戻るをクリックして前の画面に戻るように指示. (2)折れ線がどんなグラフに近づくかをクリックさせる. この画面では,Mathematica でどのように折れ線を 計算させるかという方法と Mathematica が計算したグラフが表示してあるので それを順に説明する. (3)もとに戻って,次のクリックで数学的に解くことを 説明する. (4)もとに戻って,(2)で計算した折れ線が数学的に 解いた曲線に近づくことを,グラフィカルに見せるページに 進む.折れ線の間隔が狭くなると数学的に 解いた曲線に近づくことを グラフを比較して見せる. (5)(4)でグラフィカルに見たが, クリックして次のページを開き,数式の考察からも わかることを説明した. 5.次のページをクリックさせ,2つ目のテーマ 微分方程式 y''+y=0 を初期条件 y(0)=0, y'(0)=1 のもとで解法 へ進む. ほぼ,前と同じように展開させた. 6.ホームページの説明が終了した後で,学生に 教師用のパソコンの画面を見るように指示して, 教師用のパソコン上で次のことを実行した. (1)Mathematica で実験 ページに飛んで,2つの実験用のファイルを ダウンロードして教師用のパソコンに保存 (2)保存したファイルをMathematica で実行して, ホームページ上では,静的なグラフとして 描かれていたものを 動的なグラフとして,近づく様子を いろいろな角度から実行して見せた. 7.最後に sin x の多項式近似の 様子を,Mathematica を利用して グラフィカルに見せた. %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 2 アンケート結果 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 平成13年6月4日,2時限 (出席者) 3 年  19 名 大学院 2 名 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% アンケート回収数 20 名 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% 内容と結果 %%%%%%%%%%%%%% 1この授業以前にホームページを開くことは (1)よくあった       11 名 (2)かなりあった 0 名 (3)普通 1 名 (4)少ししかなっかた 4 名 (5)全くなかった. 4 名 2今回の授業で,ホームページを開く操作について (1)よくわかった 12 名 (2)かなりわかった     3 名 (3)普通 5 名 (4)少しわかった 0 名 (5)全くわからなかった 0 名 3今回の授業で,クリックして新しいページを開いていく操作について (1)よくわかった 14 名 (2)かなりわかった     2 名 (3)普通 4 名 (4)少しわかった 0 名 (5)全くわからなかった 0 名 4ホームページに書かれている内容のわかりやすさについて (1)よくわかった 2 名 (2)かなりわかった     2 名 (3)普通 8 名 (4)少しわかった 7 名 (5)全くわからなかった 1 名 5ホームページに書かれているグラフのわかりやすさについて (1)よくわかった 6 名 (2)かなりわかった     8 名 (3)普通 4 名 (4)少しわかった 2 名 (5)全くわからなかった 0 名 6教師用のパソコンで,描かれるグラフの変化を 自分のパソコンを通して見た時のわかりやすさについて (1)よくわかった 7 名 (2)かなりわかった     4 名 (3)普通 6 名 (4)少しわかった 1 名 (5)全くわからなかった 0 名 (6)無回答         2 名 7微分方程式について学習したことがありますか (1)講義を受講したことがある   18 名  (2)講義を受講したことがない   1 名 (3)講義を受講し始めた      1 名 (4)自分で勉強したことがある 0 名 8微分方程式の解をパソコンで作り出す方法で 勉強することで,以前より微分方程式の解について (1)よくわかった      4 名 (2)かなりわかった 0 名 (3)普通         12 名 (4)少しわかった      3 名 (5)全くわからなかった   1 名 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%%% アンケートの分析 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% (I) ホームページの操作について 約半数の学生が,ホームページを開くことに 慣れていなかったが,一時間の授業で 普通以上になった. %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% (II) 微分方程式の解の理解とグラフの効果について %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% 傾向1(理解度から見たグラフの効果) %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 8の解答で (I) よくわかったと解答した人は4名でその特徴 全員が,感想の中で パソコン(グラフ)を利用した授業の効果を指摘している. また,4,5,6で(1)と解答した人が2名 (II) 普通(または少しわかった)と解答した人は15名でその特徴     4(内容)で(3),(4),(5)のいずれかを解答し, 5,6(グラフ)で(1),(2),(3)のいずれかを解答した人 が12名で そうでない人3名 (III) 全くわからなかったと解答した人1名でその特徴      4で(5),7で(2) %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% 傾向2(感想から見たグラフの効果) %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% グラフの効果で理解しやすかったと感想を書いている人 13 名 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% 傾向3(意欲,興味の面からの効果) %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 自分でもパソコンを利用したいまたは 授業に取り入れた方がよいと思った人 7 名 感想例(授業のねらいを感じ取ってくれたものから) 1.パソコンを使って授業をするのはとてもおもしろいと思った. これを,小,中,高でももっと積極的に利用すれば,子供たちにも いろいろ関心(興味)がわいていいと思う. 2.グラフが動くのはすごいと思った.自分自身でこんなことが できたら,楽しく数学ができるだろうなと思いました. %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%% 結論 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 図形(グラフ)は理解を深めるのに役立つことは いまさら,強調するまでもないはずである. 大学で扱う数学の内容においても,図形は限りなく 理解の助けになると思われる. 今回の特別授業でも,パソコンを利用して, 微分方程式の解を,近似ではあるが, 視覚的に見せる方法は内容の理解度という面から その可能性を示唆している. %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% END